手塚治虫の裏の顔?異色の世界観が魅力的な理由
こんにちは 小後舞真です。
漫画の神様と言えば、手塚治虫さん。
彼が手がけた漫画の数は、500本を超えています。
有名作をたくさん手がけた手塚さんですが、中にはあまり知られていない作品も少なくありません。
そこで今回は、名作だけどあまり知られていない人間昆虫記の魅力4選を解説します。
※あくまで一個人の感想です。
人間昆虫記の概要とあらすじ
早速、人間昆虫記の魅力について語りたいところです。
しかし中には、人間昆虫記について詳しく知らない人もいるでしょう。
そこでまずは、人間昆虫記の概要とあらすじを紹介します。
人間昆虫記の概要
タイトル:人間昆虫記
著者:手塚治虫
出版社:秋田書店
掲載誌:プレイコミック
連載期間:1970年~1971年
巻数:全2巻(秋田漫画文庫)
人間昆虫記を描く前は、コミカルで柔らかいタッチが特徴的だった手塚作品。
しかし時代は、劇画ブームとなっていました。
そのため、手塚作品の人気は落ちスランプに陥ったそうです。
その時、苦肉の策で描いたのがこの人間昆虫記。
後に手塚さんは、子供向け漫画から青年漫画作品に移行しブラックジャックをヒットさせました。
また2011年には、WOWWOWにてテレビドラマ化されました。
青年漫画へ移行するきっかけとして生まれた漫画とも言えます
ドラマ化されたことで再注目された作品だよ
人間昆虫記のあらすじ
物語は、主人公の十村十枝子が芥川賞を受賞したことから始まります。
新進気鋭の作家としてインタビューを受ける彼女は、小説家以外にも様々な才能を持っていました。
ある時は、劇団一の大女優として活躍しながらデザイナーとしての才能も発揮。
そこで、アカデミー賞を受賞していました。
そんな多彩な彼女を追って取材していた記者は、彼女があばら家に蠟人形の母と暮らしていることに気づきます。
そこでは、数々の賞を総なめするカッコイイ十枝子の姿はありません。
そこには、子供返りした女性の姿が見えました。
記者が関わっていくうちに彼女は、模倣の天才だと言う事に気づきます。
十枝子は、様々な人の才能を模倣し人々から地位や名誉を奪っていくのでした。
徐々に多くの人から恨みを買っていく十枝子が、どうなって行くのかマキャベリズム作品をお楽しみください。
人間昆虫記の魅力4選
人間昆虫記の概要とあらすじについては、ある程度おわかりいただけたかと思います。
きっと知名度の高い手塚作品と比べると、異色な世界観になっていると思います。
そこを踏まえた上で、人間昆虫記の魅力4選をご覧ください。
※一部ネタバレあり。
魅力①目が離せない悪女な主人公
人間昆虫記の魅力は、やはり主人公のキャラがいいからだと思います。
十村十枝子は、一見自分の欲望のためなら人を蹴落とす事にも迷いがありません。
場合によっては、女を武器に男を魅了し奪ったものもありました。
このように悪女な部分がありながら、実家に帰ると母に甘え赤ちゃん返りするというギャップが印象的。
主人公が、七変化する様を昆虫の変態性に見立てたため人間昆虫記というタイトルになったそうです。
初見だと結構衝撃的でギャップを感じます
明らかに悪いことしてるんだけれど憎めないんだよね…
魅力②主人公に関わることで落ちていく人々
人間昆虫記の魅力は、主人公だけではありません。
十枝子に関わった人たちが落ちていく様子も、非常に印象的です。
作品を模倣され自ら命を絶つ女性
十枝子に魅了され翻弄される男性
十枝子に愛されたことで人生が狂っていく人物 etc.
一見、十枝子に全て原因があるように見えますが中には自ら十枝子の罠にはまっている様に見えるキャラもいました。
しかし基本的には、彼女に自分の才能や希望を模倣され奪われて行く哀れな人物たちです。
読んでいると、彼らに共感できる部分があるかもしれません。
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魅力③現代でも通ずる人間の心理
またこの他にも人間昆虫記は、現代でも通じる人間の心理が描かれているのが凄いと思いました。
その心理とは、必ずしもいいものとは限りません。
嫉妬や憎しみ・愛憎など大人だからこそ共感できる要素でこの作品に夢中になれる理由だと思います。
50年以上前の作品でも通づるのが手塚作品の青年漫画の特徴だと思います
人間の感情や心理で共感する部分って今も昔もさほど変わらないんだね…
魅力④大胆なコマ割り
漫画を描かない人には伝わりにくいかもしれませんが、大胆なコマ割りもこの作品の魅力です。
人間昆虫記に限らず手塚作品を読むと、斬新なコマ割りや演出がたくさん登場します。
現代では、あまり見かけないコマ割りで描かれていてより世界観に浸れる理由かもしれません。
案外最近の漫画のほうが、シンプルなコマ割りで読みやすいけれど意外性はないなと思う事が多いです。
人間昆虫記がマイナーな理由
人間昆虫記の魅力の紹介は、以上です。
ただ冒頭でも言ったようにこの作品は、手塚作品の中でもマイナーです。
なぜマイナーなのか考えてみた結果、タイトルと表紙の絵が注目されにくいのではと思いました。
人間昆虫記いうタイトルは、冒頭でも言ったように虫の変態性と主人公の様変わりする様子を表しています。
しかしこれは、本編を読まないと分かりません。
また表紙の絵が、昆虫なのも読者の好き嫌いが分かれる要因かなと思いました。
個人的にこういった理由で、読むのを避けた人がいるのではと推測しています。
完全版では主人公の十枝子の絵に表紙が変わっています
表紙やタイトルって読んでもらえるかどうかに大きく影響するんだね
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人間昆虫記は大人に知ってほしい手塚作品の一つ!
今回は、人間昆虫記の魅力について語りました。
この作品は、大人が読むからこそ面白いんだと思います。
まだ読んだことがない人は、これを機会に読んでみてはいかがでしょうか?
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
★shogo★
とても面白い記事でした。
また読みたくなってきました!
ありがとうございました!!
リクエストなのですが同じく黒手塚のダスト8、アポロの歌、ザ・クレーター辺りも紹介して頂けると嬉しいです。
コメントありがとうございます。
すぐにできるかは分かりませんが、検討してみます。